人の道から外れたら、獣の道で遭難しかけた。

生きてます。

しょーりです。

さっきまで普通に山で遭難しかけていました。

人生って面白いですね。

どうしてそんなことになったかと言う話なんですけども、ここ最近、鬱々としていたんですね。

「あれ?ちゃんと生きられてないな?」

定期的にそう感じ、生を実感するために自然を通して自分と向き合う習慣が僕にはあります。

思い立てばすぐ行動。

ちょっくら自然に囲まれるために山へ。

一駅手前で降りるなどしつつも到着。

登ろうと思った山が違う山だったなどしつつも登山開始。

一人になりたかったので、人がいない道を選択。

普通に上級者コース。

装備品はスニーカー、フクロウのリュック、タオル、カメラ、携帯二台。

…。

登り始めました。

思考が始まります。 

何が心を乱しているんだろう。

心や感情が散らかっていたからでした。

人は何か強烈に心が動いたときに、それに引っ張られてしまうようです。

不味い物を美味しく食べていたけれど、ちゃんと美味しい物を食べたときに、美味しい物に囚われてしまいその前まで美味しく食べていたものから魅力が消える。

微かな期待を大きく裏切られたとき、異常な触れ幅に心が疲弊する。

そういう類のものです。

経験値は上書き保存のようでして。

枠から飛び抜けてしまった感情を、綺麗に整理し直すと、乱れた心も元に戻りました。

死ぬのに何のために生きるんだっけ。

考えては病むテーマです。

自分の知的好奇心を喜ばせ続けたい。

自身の感性を通して、体験に価値を見出していたい。

登山道の横に生えている、見向きもされないキノコ一つに、一喜出来る感覚はこれからも失わないようにしていきたい。

キノコも人に見られるために生えてはいない。

エゴでいいと思う。

それをすることに邪魔をされない環境、誰かの持つ面白い感性を殺させない環境。

それをつくらないといけないなと思った。

それによって誰かが救われる一方で、それによって自分が楽しく生きられる。

いいエゴだと思う。

夕方になり、一気に暗くなり始める。

アナグマが目の前を横切る。

イノシシが目の前を横切る。

凄いな、上級者コース。

そして登頂、時既に暗し。

60円も高い自販機を横目に、下山を開始。

同じ道で帰る気はなく、何なら初級者コースでゆったり帰ろうと思っていました。

暗いし、危ないし。

始まる下山に、同じタイミングで降りる人が。

駄目だ、駄目なんだ。

どうしてあなたたちも同じコースで下りるんだ。

気付けば、下りている別の上級者コース。

そして日は沈み。

誰もいなくなった。

山で遭難とかありえないっしょ。

そう考えていた頃が僕にもありました。

そんな僕も今では遭難しています。

なんて冗談が言えなくなるくらい、真っ暗な山道。

スーパー軽装備、これからスーパーに行くのかなみたいな格好です。

まず灯りがない。

そこで何よりも役立ったのがiPhone

人は灯りがないと不安になるというのは、こういうことねと思いました。

不安というのは心理的なのもありますが、シンプルに足下が見えていない恐怖感がえげつなかったんですね。

上級者コースって何が上級者かって道が整備されていないの一言に尽きるんですね。

道幅が60センチのとこだったり、訳の分からない凹凸だったりと。

明るいうちは「わぁ自然だぁ」なんて呑気なことを思っていましたが暗闇の中ではそんな余裕は皆無。

踏み外したら死ぬ!という思いのみで一歩一歩下りていきます。

夜道の恐怖とは違う感覚。

ありえん早さで横切ったイノシシが、脳裏を横切ります。

あいつ、初速から早かったぞ。

突進したらジャンプするしかないんか?

余計な恐怖が襲います。

そしてついには、「下山できなかったらどうしよう」と駄目な方向へ。

「遭難していたIT会社勤務の会社員、無事に救出。」

そもそも今働いている会社がIT会社でいいのかとか、こんなフクロウのリュック軽装備野郎が救助されたら叩かれまくるやん、と気が気じゃなくなります。

分かっていても外れてしまう自分を少し恨みつつも、けどこういう人って一定数はいるんだろうなと思いつつ。

「嗚呼、自分の役割はこういうことか。」と、腹落ちします。

どうせ道を外れるんだから、その道を整備してあげよう。

灯りをつけて、不安をなくしてあげよう。

そして同じような人が楽しめる道にしてあげよう。

だったら楽しいじゃん。

意図して外れた人も、意図せず外れた人も楽しめるじゃん。

と、思ったわけです。

そんなこんなでよく分からないテンションで下りていくと、麓の灯りが見えてきます。

頑張って生きよう。

そう改めて決心し無事に下山に成功。

行き道に見たロープウェイを発見。

「帰ってこれた」と一人すがすがしい気持ちと共に炭酸水で一服。

そんな一時の中で、目の前を若いカップルが軽装備のまま山の方へ通りすぎていきます。

「おいおいそんな軽装備だと遭難するぜ?」と笑いながら視線を見送りましたが、思わず二度見。

ロープウェイに笑いながら乗っていきました。

こんな時間にも動いているんですね。

下調べって大事だね。